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経済的影響と株価

事件は「言葉」と「不安」だけで市場を動かした劇場型犯罪だった。ここでは、脅迫された企業への経済的影響と株価の動きを整理する。脅迫状・恐喝状が送られた企業は一部の有名企業にとどまらず、食品メーカーから百貨店・スーパーまで36社に及んだ(総数144〜147通の脅迫状・挑戦状は、この広がりを含む)。36社は本編動画で社名が挙がる脅迫対象企業の重複を除いた実数であり、被害社数の確定値ではない(下記「36社の内訳」参照)。ただし1984〜85年当時の日次・月次の株価データは無料で公開されているものがほとんど残っていない。本ページは裏取りできた数値だけを異説付きの両論併記で示し、確定的な株価表は出典を明示して「入手待ち」とする(数字を推測で埋めることはしない)。
脅迫された企業 ― 中心的標的と、36社への脅迫
現金の「取引」を実際に仕掛けた中心的標的検証済
犯人が現金の受け渡しを実際に仕掛けた中心的な標的は、時期を追って次のように移っていった。江崎グリコ(3月・社長誘拐/5月・青酸予告)→ 丸大食品(6〜7月)→ 森永製菓(9〜10月)→ ハウス食品(当時ハウス食品工業/11月)→ 不二家(12月〜)→ 駿河屋(和歌山の老舗和菓子会社/1985年3月)。標的が企業から企業へ移っていったのがこの事件の骨格である。
出典:Wikipedia/各紙報道 ※timeline に対応項目
脅迫状は「数社」ではない ― 36社への脅迫要検証(脚本・報道由来)
脅迫状そのものは、中心的標的だけでなく多数の企業に送りつけられた。制作用資料(脚本)と報道によれば――
1984年7月12日(寝屋川郵便局消印)=伊藤ハム・日清製粉・日本ハム・山崎製パン・ハウス食品工業・雪印乳業・明治製菓の7社へ一斉
7月22日(京都中央郵便局消印)=味の素・ジャスコ・ユニー・ニチイの4社
・さらに、ジャスコ・ユニー・ニチイ・長崎屋・西友・イズミヤ・ダイエー・イトーヨーカ堂・忠実屋・平和堂・丸井・大丸・阪急・高島屋・三越・日本ハム・エスビー・ハウス食品・伊藤ハム・味の素・雪印乳業・明治乳業・明治製菓・山崎製パン・ネスレ日本・北日本食品・ヤクルトなど、合計27社に対して一斉に脅迫状が送られたとされる。
対象は食品メーカーだけでなく百貨店・スーパーにまで及んでおり、「脅迫された会社は数社」ではない。※個々の企業名・社数・日付は制作用資料と報道に基づく段階で、独立ソースでの一件ごとの照合は継続中=要検証として扱う。
出典:制作用資料(脚本 V03)/各紙報道 ※一斉送付の社名・社数は独立照合を継続
「36社」の内訳 ― 数え方の定義本サイトの集計基準
本サイトが掲げる36社は、本編動画のナレーションで社名が挙がる脅迫対象企業を、重複を除いて数えた実数である。内訳は次の4群。
①1984年10月の一斉送付 27社=ジャスコ/ユニー/ニチイ/長崎屋/西友/イズミヤ/ダイエー/イトーヨーカ堂/忠実屋/平和堂/丸井/大丸/阪急/高島屋/三越/日本ハム/エスビー/ハウス食品/伊藤ハム/味の素/雪印乳業/明治乳業/明治製菓/山崎パン/ネスレ日本/北日本食品/ヤクルト
②7月12日の7社一斉のうち①に含まれない 1社=日清製粉(他の6社は①と重複)
③個別に脅迫された 6社=江崎グリコ/丸大食品/森永製菓/森永乳業/不二家/駿河屋
④グリコの取引先・関連会社として脅迫状が送られた 2社=長岡香料/東洋紙業朝日
27+1+6+2=36社。7月22日の4社(味の素・ジャスコ・ユニー・ニチイ)はすべて①と重複するため二重計上していない。
★この数字は「確定値」ではない。 ①は当時「など合計27社」と報じられた範囲であり、社名が公表されていない企業を含む可能性がある。したがって36社は「動画で名前を確認できた社数」であって、実際に脅迫状が届いた企業の総数はこれを上回りうる。
出典:本編動画ナレーション(メイン_Ver01.mp4.srt)/制作用資料(脚本 V03) ※集計は本サイトによる
ただし株価・事業が実際に動いたのは一部整理
これら36社の多くは「脅迫状が届いた」段階にとどまり、実際に商品の撤去・操業停止という事業打撃を受けたのは主に江崎グリコと森永製菓である(青酸予告・青酸菓子ばらまきの対象になったため)。したがって、株価に明確な影響が語られるのも基本的にこの2社が中心となる。以下の株価の記述・入手待ち表は、この「実際に大きく動いた企業」を主対象とする。
出典:Wikipedia/新潟日報(事件40年回顧)/神戸新聞NEXT
株価の動き ― わかっていること
江崎グリコ株の下落異説(2説併存)
事件を受けてグリコ株が下落したことは複数の記述で一致するが、その水準は資料により食い違う。
①説:1984年1月「約745円」→ 5月17日「約598円」(約▲20%)。
②説:「700円前後」→「480円前後」。
いずれも「株価操作説」を語る文脈に登場する二次情報で、当時の株式面(一次資料)での照合は済んでいない。本サイトは水準を断定せず、両論を併記する。
出典:Wikipedia系/制作用資料(数値が不一致のため要精査)。正確な確定には当時の新聞縮刷版・会社四季報が必要=下記「入手待ち」参照。
商品の一斉撤去と操業停止検証済
株価そのものより先に、事業への打撃が明確に確認できる。5月の青酸予告報道を受け、全国のスーパー等からグリコ商品が一斉に撤去され、生産ラインは操業停止に追い込まれた。10月の青酸菓子ばらまきでは森永製品が同様の撤去にさらされた。「信頼が揺らぐと消費も供給も止まる」という劇場型犯罪の破壊力が、そのまま数字に表れた局面である。
出典:Wikipedia/新潟日報(事件40年回顧)/神戸新聞NEXT ※timeline に対応項目
損害額金額は非掲載
グリコ・森永とも「数十億円規模」の損害を受けたとされる。ただし森永について「500億円規模」とする記述もあり桁が2つ違う。当時の売上減少額・損害額を数字で確定できる一次資料が見当たらないため、本サイトは金額を断定して掲載しない。被害の大きさは、商品の一斉撤去・操業停止という検証済みの事実で示す。
出典:確認できる資料なし(当時の新聞経済面・社史での確認を予定) ※factcheck に対応項目
「株価操作説」について
空売りで利益を得る目的だったのか都市伝説・証拠なし
犯人が身代金を一度も受け取らなかったこと、上場企業ばかりを狙ったことなどから、「企業の信用を揺らして株価を下げ、事前に仕込んだ空売りで利益を得る目的だったのでは」という説が語られてきた(塩田武士『罪の声』などが題材化)。しかし、これを裏づける証拠は確認されていない。当時は個人の売買株数に制限があり、大規模な空売りは目立ったはずだという反論もある。本サイトは一つの仮説として紹介するにとどめ、事実としては扱わない
出典:塩田武士『罪の声』(講談社)/各種報道・評論 ※動機は未解明。断定しない
正確な株価データ(入手待ち)
下の表は、正確な数値が入手でき次第そのまま差し替えられるよう、枠だけを用意したものです。推測値は入れていません(「―」=入手待ち)。確定データの元は、①会社四季報オンライン「グリコ森永事件で株価はいくら動いた?2社の推移に迫る」(購読制)、②当時の新聞縮刷版の株式面(1984〜85年/国立国会図書館)、③各社の当時の有価証券報告書、のいずれかになります。
企業(コード)事件前の株価水準事件中の安値回復・その後備考
江崎グリコ(2206)― 入手待ち
※①説745円/②説700円前後(要照合)
― 入手待ち
※①説598円/②説480円前後(要照合)
― 入手待ち2説が併存。一次照合待ち
森永製菓(2201)― 入手待ち― 入手待ち― 入手待ち四季報記事が「2社の推移」として言及
丸大食品(2288)― 入手待ち― 入手待ち― 入手待ち
ハウス食品工業(2810)― 入手待ち― 入手待ち― 入手待ち
不二家(2211)― 入手待ち― 入手待ち― 入手待ち
※ 証券コードは現在のもの(各社とも1984年当時から継続上場)。数値が確定した項目から、出典付きで順次このページに反映します。